多くの男性が抱える悩み「男性頻尿」とは?

■「頻尿」とは何度もトイレに行きたくなること

排尿をしても尿の勢いがない、残っているような残尿感があり、何度も気になってトイレに行きたくなってしまう……このような悩みを抱えている男性は数多くいるのではないでしょうか。

家にいるときは大きな問題になりませんが、車や電車での移動中や会議や商談での仕事中はトイレに行けず、辛い思いをすることがありますよね。

また、起きているときだけに限らず、夜中に寝ているときにも尿意を催し何度もトイレに行けば、睡眠不足を引き起こすこともあります。

このように、トイレが近く、1日に何度もトイレで排尿を繰り返す症状を「頻尿」といいます。

一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が昼8回、夜2回の合計10回を超えた場合が頻尿の目安となるといわれています。

しかし、1日の排尿回数は人によってさまざまであり、1日に8回以内であっても、自分自身で排尿回数が多いと感じる場合は、頻尿であると診断されることもあります。

多くの男性が抱える悩み「男性頻尿」とは?

■「男性頻尿」が生じるメカニズム

頻尿は、「過活動膀胱」「前立腺肥大症」「神経性頻尿」「糖尿病」「前立腺炎」「膀胱炎」「腫瘍」「骨盤底筋のゆるみ」のいずれかが単独、もしくは複合的に絡み合い生じるものです。

特に、「過活動膀胱」「前立腺肥大症」「糖尿病」「神経性頻尿」「前立腺炎」の5つは男性の排尿機能障害の要因として見られることが多いため、要点を押さえておく必要があります。

「過活動膀胱」とは、近年、世界的に新しく使われ始めた病名のことで、英語でOAB(overactive bladder)といいます。自分の意志や尿の量に関係なく膀胱周りの筋肉である排尿筋が収縮するため、急激な尿意を引き起こす過活動膀胱症状が引き起こされます。

「前立腺肥大症」は、肥大した前立腺や収縮した筋肉が尿道を圧迫するものです。前立腺は射精管と尿道を取り囲むクルミ大の腺で、生殖に必要な乳白色の前立腺液を分泌しています。前立腺液は精子を守るミネラルやクエン酸、タンパク質を多く含み、全体の精液の3分の1を構成しています。

前立腺肥大が生じる詳しい原因は現在明らかになっていませんが、加齢や性ホルモンが原因で前立腺細胞が過形成されると考えられており、高い確率で過活動膀胱を併発します。

「糖尿病」による頻尿は、ブドウ糖の排出と神経障害により生じる可能性があります。糖尿病を患った場合、血糖値を下げるため尿を大量に放出することで血中のブドウ糖を排出する機構が働きます。この際、大量の水分を放出することから、喉が渇きやすくなります。また、糖尿病を患うと身体の調子を整える自律神経が冒され、尿の調節が上手くいかなくなります。

ちなみに、2015年の日本の糖尿病人口は世界で9位の720万人であるため、糖尿病に伴う頻尿は非常に身近な存在です。

「神経性頻尿」とは、原因がはっきりとしない頻尿症状のことで、身体に異常が見受けられないにもかかわらず発症します。神経性頻尿はさらに、ストレスや不安など心の不調が要因の「心因性頻尿」と原因不明の「本態性頻尿」に分けられます。

「前立腺炎」とは、前立腺に炎症が生じるもので、大腸菌やクラミジア、弱毒性細菌などが原因の「急性前立腺炎」と非細菌性の「慢性前立腺炎」に分けられます。前立腺炎を患う場合は、慢性前立腺炎であることがほとんどです。

■男性に特有の「前立腺」に伴う病気

男性頻尿の原因を5つ挙げましたが、「前立腺肥大症」と「前立腺炎」は女性にない男性特有のものです。

中でも、「前立腺肥大症」は年々患者数が増加しており、1987年度には約13万人だった患者数が2011年度には約42万人と24年で約3倍も増加しています。

前立腺肥大症が生じる詳しい原因は不明ながら、加齢と男性ホルモンが関係していることが指摘されています。そのため、年齢にともない男性ホルモンが低減する中高年の方には見逃せない要因になっています。

実際、40代以下の比較的若い世代の方では前立腺肥大症はほとんど見られませんが、加齢によって患者は増え始め、80歳までに8割の高齢者の方が前立腺肥大症を患ってしまうそうです。

それだけ身近な病気である前立腺肥大症ですが、似た症状として「前立腺がん」が挙げられます。前立腺がんも頻尿などの排尿障害を症状として持ちますが、尿道から離れた「外線」から癌が進行するため症状が出始めた頃にはすでに腫瘍が大きくなっていることがほとんどです。

前立腺肥大症は良性腫瘍であるのに対し、前立腺がんは悪性腫瘍に分類されるため前立腺がん予防のためにも早期の発見・治療が見込まれます。

多くの男性が抱える悩み「男性頻尿」とは?

■男性頻尿の原因を症状で見分けてみる

すでに見てきたように、男性頻尿は身近でありながら命に危険がないものからあるものまで要因が分かれています。

 

もちろん病院での受診が最も望ましいですが、自分である程度要因を探ることができれば頻尿の正体がおぼろげながら見えてきますよね。

 

そこで、症状から逆算して要因を探っていきたいと思います、

 

日中、夜間に関係なく突如として尿意を催す場合は、過活動膀胱である可能性が高いです。過活動膀胱は膀胱内の尿量に関係なく発作的に膀胱が収縮するため、意識と無関係に排尿障害が生じます。

 

尿が半端に途切れる「尿勢低下」や「残尿感」がある場合には、前立腺肥大症や前立腺がんである可能性が高いです。尿道が圧迫されることによりおしっこが出にくくなるため、血尿が出ることもあります。

 

日中の起きている時間に頻尿の自覚症状があるのに、就寝中に頻尿の症状が出ない場合は、神経性頻尿である可能性が高いです。精神的に頻尿を自覚しているだけであって、身体に異常はないからです。

 

頻尿や残尿感に加え、下腹部や足のつけ根、睾丸(精巣)、陰嚢に痛みや不快感が生じている場合は前立腺炎である可能性が高いです。細菌性の急性前立腺炎の場合は、さらに発熱などの全身症状が見受けられます。

 

頻尿に加え、喉の渇きや疲労感が生じている場合は糖尿病の可能性が高いです。糖尿病が悪化すると神経症や網膜症、腎臓病、動脈硬化、壊疽など頻尿以上に恐ろしい合併症が引き起こされます。

■早期診察&生活習慣の改善を

先に見てきたように、頻尿の症状により頻尿を引き起こす要因をある程度見分けることができますが、やはり診察は確実に受けるべきです。

「排尿をしても残っているような気がする」、「トイレの回数が多い」といった排尿のトラブルを抱える人の中には、恥ずかしさから病院に行かずに放置することがあります。

頻尿などの排尿トラブルを放置しておくと、症状が進行し、トイレの回数がさらに多くなることで仕事や日常生活に支障をきたします。

しかも、頻尿の裏には前立腺がんなど命にかかわる病気が隠れていることもあるため、早期の検診が必要なのです。

実際の病院の検査では、検尿や血液検査、残尿測定、超音波測定が用いられます。尿中の成分や尿道や腎臓の状態を調べることで原因を突き止めようというものです。

自覚症状も聞かれますが、日々の尿量や頻度を記録した「排尿日誌」を持参すると診察の助力となります。

普段から排尿日誌を用いておしっこの状態を記録する必要はありますが、客観的なデータが取ることができるのです。

さらに、排尿日誌は自身の生活習慣を見直すきっかけにもなります。排尿した量や時刻を計測するだけに留まらず、普段の不摂生にも目が向けられるからです、

生活習慣の乱れは、動脈硬化を引き起こすメタボリックシンドロームなどの「生活習慣病」を引き起こす原因になります。

頻尿をきっかけとして、栄養バランスや定期的な運動など規則正しい生活を今一度考えてみてはいかがでしょうか。

■原因を解明したあとは症状に応じた治療法を選択

病院の受診で頻尿の原因が突き止められると実際に治療が開始されますが、その治療法はさまざまです。

たとえば、過活動膀胱であれば副交感神経を興奮させる抗コリン薬などの薬物療法が選択され、心因性頻尿であればカウンセリングを中心とした治療法が選択されます。

症状が軽ければ問題がないのですが、過度に排尿が困難になる尿閉に至った場合は手術が行われることもあります。

前立腺肥大症の場合は、内視鏡を尿道に入れ前立腺の肥大部分を削り取る「経尿道的前立腺切除術(TUR-P)」という前立腺肥大切除術や「被膜下前立腺摘除術」という開腹手術が行われます。