この残尿感は一体何!男性特有の残尿感の原因とは

■全て尿を出しきっているはずなのに消えない残尿感

「おしっこを出しても残っている感じがするようになった」「尿漏れが起こり恥ずかしい」などといったことでお悩みではありませんか?

一体、それらの残尿感の原因は何なのでしょうか。

実は、加齢と共に患者数が増加する「前立腺肥大症」や急に尿意を催す「過活動膀胱(OAB)」、前立腺が炎症を起こす「慢性前立腺炎」などの疾患が引き金となって残尿感を引き起こしている可能性があります。

残尿感を放置していると頻尿になり、いきんでもおしっこが出ない尿閉に陥る可能性があります。

また、上記の疾患以外に、「前立腺がん」など重大な病気も残尿感を引き起こすことがあるため、定期的な検診や早期改善が望まれます。

この残尿感は一体何!男性特有の残尿感の原因とは

■残尿感とは「排尿後尿滴下」の1つ

それではまず、残尿感の定義を確認しメカニズムを解明していきましょう。

残尿感は、おしっこを出した後でも尿道内に尿が残っている感覚のある症状のことで、「排尿障害」に位置する症状の1つです。

排尿障害は、尿を膀胱内に溜められなくなる「蓄尿症状」と尿を出しにくくなる「排尿症状」、排尿後に不快感が残る「排尿後症状」に分けられます。

蓄尿症状は、「頻尿」や「夜間頻尿」、「尿意切迫感」、「切迫性尿失禁」、そして女性に数多く見られる「腹圧性尿失禁」が、排尿症状は、「尿勢低下」や「排尿遅延」、「腹圧排尿」が主な症状となります。

「残尿感」は、尿漏れの起こる「排尿後尿滴下」と共に排尿後症状にカテゴライズされています。

以上より、残尿感以外にも症状が複数の項目にわたることが理解できたと思います。

■残尿感が引き起こされるメカニズム

それでは次に、残尿感が引き起こされるメカニズムを確認していきますが、実はメカニズムはよくわかっていません。

一説には、肥大化した前立腺が尿道を閉塞する「前立腺肥大症」などによる膀胱刺激が原因であるといわれています。

前立腺は男性にのみ認められるクルミ大の臓器で、生殖に必要な精液の3分の1を占める前立腺液を分泌しています。

この前立腺が加齢によるホルモンバランスの崩れなどにより肥大化していく疾患が「前立腺肥大症」です。

IPSS(国際前立腺症状スコア)で中等以上の方が対象になる前立腺肥大症では、尿道が圧迫されるため人為的に膀胱に力を入れ排尿を促さなければなりません。

圧力が加わることで膀胱を取り囲む排尿筋(膀胱平滑筋)は血液供給が急激に不足する虚血に陥りますが、この虚血状態を感覚神経が受容し脳に伝えることで尿意が引き起こされると推測されているのです。

すなわち、膀胱を刺激する要因にフォーカスすると、残尿感の理由が見えてくるという訳です。

膀胱への刺激により残尿感が生じることから、実際には膀胱内に尿が溜まっていなくても残尿感を感じることがあります。

この残尿感は一体何!男性特有の残尿感の原因とは

■膀胱を刺激する要因は大きく2つ

膀胱を刺激する要因は、直接膀胱を刺激する疾患と、前立腺肥大症のように尿道を圧迫することで間接的に膀胱を刺激する疾患に分けられます。

直接的に膀胱を刺激するもの

直接膀胱を刺激する疾患は、「膀胱炎」や「膀胱がん」などが挙げられます。

「膀胱炎」は、細菌性の「急性膀胱炎」もしくは「慢性膀胱炎」と、原因不明の「間質性膀胱炎」に分けられます。男性に数多く見られるのは「慢性膀胱炎」で、何らかの基礎疾患が理由で細菌が膀胱内に侵入し膀胱粘膜に炎症を引き起こします。

また、性交渉により淋病やクラミジアなどの性感染症を引き起こす菌が侵入し、急性膀胱炎を起こすこともまれにあり、痛みを伴う場合があります。

「膀胱がん」は、膀胱の移行上皮という粘膜から発症する癌のことです。50歳以上の比較的年齢の高い方が発症しやすい癌で、喫煙者は禁煙者の2~3倍患う確率が高まるといわれています。

間接的に膀胱を刺激するもの

間接的に膀胱を刺激する疾患は、前立腺肥大症以外に「慢性前立腺炎」や「急性前立腺炎」、「前立腺がん」、「尿道狭窄」などが挙げられます。

「慢性前立腺炎」は、前立腺が少しずつ炎症を起こしていく疾患で、大きく腫れることにより尿路圧が上昇し残尿感を伴います。慢性前立腺炎は、細菌性と非細菌性のものに分けられますが、9割は非細菌感染が原因であるといわれています。

ちなみに、慢性前立腺炎は発症原因がよくわかっておらず、医師でも治療が困難であることから完治まで時間がかかることが数多くあることがあります。

「前立腺がん」は、前立腺が正常の細胞増殖機能を失い無限増殖することで発生する癌で、癌が肥大化すると尿道を圧迫し残尿感が生じます。前立腺がんは尿道から離れた外線で発症することが多いため、発症初期では残尿感をはじめとする排尿障害などの自覚症状が無いことが特徴です。

欧米人が患いやすいことから遺伝子が原因だといわれていますが、近年の日本人患者数の増加により食生活も原因であるといわれています。

「尿道狭窄」は、男性に数多く見られる疾患で、尿道カテーテルや尿道への内視鏡手術(経尿道的手術)による尿道粘膜の損傷や、事故やケガによる尿道断裂が原因となって生じます。尿道が狭まることで膀胱に負担がかかり残尿感が生じます。

■膀胱の刺激以外に残尿感を引き起こす神経因性膀胱炎

膀胱を刺激する原因を直接と間接の観点から見てきましたが、膀胱の刺激以外に残尿感などの排尿障害が引き起こされる原因として神経性の「神経因性膀胱炎」があります。

「神経因性膀胱炎」は、内臓の動きや血液の流れなど意志とは無関係の身体の機能をつかさどる「自律神経」に障害が生じて起こる疾患です。

自律神経は尿道や膀胱にも張り巡らされており、膀胱内の尿量を感じ取り尿意信号を脳に伝える働きや脳からの排尿信号を膀胱に伝える働きをしています。

「神経因性膀胱炎」は、この一連の排尿プロセスに狂いが生じている状態です。

自律神経の狂いは、「大脳疾患」と「脊椎疾患」、「末梢神経障害」が原因です。

「大脳疾患」は、脳梗塞や脳出血、パーキンソン病、認知症、脊髄小脳変性症、突発性正常圧水頭症、多発性硬化症などが挙げられます。

「脊椎疾患」は、脊髄損傷や頚椎症、二分脊椎、椎間板ヘルニア、脊椎炎、脊椎の血管障害、脊髄腫瘍、頚髄症、脊髄梗塞、胸腰髄病変などが挙げられます。

「末梢神経障害」は、糖尿病性神経症や腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、子宮がんや直腸がんなどの骨盤腔内手術、馬尾腫瘍などが挙げられます。

自律神経がトラブルを引き起こしていることから尿意を自覚できず、尿を出せない尿閉や膀胱容量がいっぱいになり尿が漏れ出る尿失禁などの排尿障害が生じることが多々あります。

■残尿感の8つの予防方法と解消方法

すでに見てきたように、残尿感の背後には様々な疾患が要因となっており、特に神経因性膀胱は、脳や脊髄からなる中枢神経や末梢神経を構成する自律神経に疾患が出た時に症状が出るため残尿感の要因は複雑であるといえます。

しかし、日常の生活習慣を改めることで広範囲に疾患を防ぎ、結果として残尿感の予防に繋げることができれば不安なく生活できるはずです。

そこで一概にはいえないですが、疾患の予防・対策方法を8つほど挙げていきたいと思います。

①お酒の飲み過ぎに注意しましょう。お酒に含まれるアルコールを大量に摂取すると、血管が充血し前立腺が肥大化する要因になります。日本酒であれば1合程度、ビールであれば中びん1本程度でたしなみましょう。

②刺激物を食べ過ぎないようにしましょう。特に、刺激物に分類されるコーヒーに含まれるカフェインが非喫煙者の膀胱がんの発現リスクを高めることが報告されています。

③適度に水分を補給して排尿しておきましょう。排尿には膀胱内の菌を排出する効果があり、細菌感染型の膀胱炎などを予防する働きがあります。一日1.5リットルの水分を目安として摂取するようにしましょう。夜中の排尿障害である夜間頻尿が気になる場合は、睡眠の2時間前は水分を摂らず、一日全体の中でバランス良く水分を摂取しましょう。

④トイレの我慢は禁物です。血液は腎臓でろ過され原尿となり、再利用できる部分以外の老廃物が尿となって膀胱に貯められ排出されます。排尿は、尿道や膀胱に侵入してきた細菌も一緒に洗い流す役割も持っており、我慢してしまうと細菌感染のリスクが高まってしまいます。仕事中や運転中などトイレに行けない場面は往々にしてあると思いますが、できる限り行くことを心がけましょう。

⑤デスクワークやドライブなど長時間の座位を避け、適度な運動を心がけましょう。散歩などの適度な運動は骨盤内の血液の循環に良く膀胱炎に効果的だからです。また、毎日15分間の運動をしている人は前立腺がんの再発率が低いという報告もあります。

⑥ストレスを溜めすぎず発散させるようにしましょう。ストレスが交感神経に作用し、心因性の過活動膀胱を引き起こす可能性があるからです。日常生活で溜まるストレスの解消法を常日頃考えておきましょう。

⑦偏食ではなくバランスの良い食事を心がけましょう。栄養が偏ると身体に負担がかかるからです。実際、高温加熱した肉やトランス脂肪酸などの油を摂り過ぎると前立腺がんの発症リスクが高まるという報告があります。ちなみに、前立腺内にのみとどまる「限局がん」においては、大豆製品やゲニステイン、ダイゼインの摂取量が増加すると発症リスクが低下する報告があります。

⑧「骨盤底筋トレーニング」という膀胱訓練を意識的に行いましょう。骨盤底筋筋肉群は、尿道や肛門を締める働きをもつ筋肉で、臓器を支えている筋肉の総称です。骨盤底筋筋肉群を鍛えることで、過活動膀胱の症状や男性機能の維持に繋がると考えられています。骨盤底筋の鍛錬にはスクワットが有効で、尿道と肛門を締めるイメージを持ちながら1日10回から100回の間で無理なく実施することがポイントです。

以上が8つの残尿感の予防方法です。

8つの予防方法の実践により、残尿感に繋がる疾患はかなりの程度防ぐことができることが見込まれますが、仮に残尿感が発生した場合は病院で受診しましょう。

なぜなら、残尿感の裏には、膀胱がんや前立腺がんなど重大な病気が隠れている可能性があるからです。

しかも、疾患を放置するとさらに悪化することもあるため、速急な治療が見込まれる訳です。

実際の治療方法は検査後の疾患により判断され、細菌性の感染による炎症であれば「ニューキノロン系剤」や「セフェム系剤」、「ペニシリン系剤」といった抗生物質が治療薬として処方されたり、尿道から内視鏡を挿入して肥大した前立腺を切除する経尿道的前立腺切除術が行われたりします。

疾患の種類や程度により、対処方法も異なってくるのですね。